各種三州瓦の紹介

「J形」は、伝統的な和瓦の系譜を受け継ぐデザインです。社寺・城郭・茶室など日本建築が培ってきた屋根瓦の伝統美を基本モチーフとし、明治以降に流入した西洋建築のアイデアや工夫を積極的に採り入れ、今日見られる多彩なJ形の世界を形成してきました。
在来工夫やプレハブなどの一般住宅はもとより、役所・学校・ホテルなどのコンクリート建築でも多彩採用され、[現代建築]にかかせない屋根瓦となっています。

 
いぶし瓦は釉薬を使わず、焼成したあとに空気を完全に遮断、「むし焼き」にする燻化工程が特徴です。このときLPGなどで素地表面に銀色の炭素膜を形成させます。
釉薬を用いず、素焼きにしたり、金属酸化物を原料に練り込んだり、窯内の雰囲気を酸化、還元などコントロールすることで独特の窯変色を出す瓦は、いぶし瓦と同じ無釉系でも燻化工程がなく、無釉瓦として区別します。

 
「F形」のFは、平面を意味するフラットに由来します。Fの名の通りJ形瓦の基本である山と谷の凹凸をなくした平板状のデザインが特色で、その平面形状を活かして凹凸や波形をあしらった洗練きれたデザイン感覚の瓦が多数製品化されています。
また、F形には鬼瓦など特殊な役物瓦が少なく、全体の印象としてはすっきりとした西洋感覚あふれるモダンな屋根に葺きあがります。

 
「S形」は、西洋建築とともに移入されたデザインで、「S」はスパニッシュに由来します。
かつてのスパニッシュ瓦は、日本の本葺き瓦のように、山と谷が別々の瓦で構成されていました。そのスパニッシュを改良したのがS形で、山と谷が一体となった一枚の瓦で形成されます。その結果、施工性・コストパフォーマンスなどが著しく向上しました。

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